2007年5月アーカイブ

細菌学的な位置づけ

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乳酸菌という名称は、細菌の生物学的な分類上の特定の菌種を指すものではなく、その性状に対して名付けられたものです。
醗酵によって糖類から多量の乳酸を産生し、かつ、悪臭の原因になるような腐敗物質を作らないものが、一般に乳酸菌と呼ばれます。
乳酸菌は、その醗酵の様式から、乳酸のみを最終産物として作り出すホモ乳酸菌と、アルコールや酢酸など乳酸以外のものを同時に産生するヘテロ乳酸菌に分類されます。
また、その細菌の形状から、球状の乳酸球菌(にゅうさんきゅうきん)と桿状の乳酸桿菌(-かんきん)に分類されることもあります。
ただし、これらはいずれも便宜的な分類名です。

一般に、乳酸菌と呼ばれて利用されることが多い代表的な細菌には、以下の5属が挙げられる。いずれも醗酵によって多量の乳酸を産生するだけでなく、比較的低いpH条件下でよく増殖します。
これらの菌にとって乳酸は醗酵の最終産物であると同時に、それを作り出して環境を酸性に変えることで他の微生物の繁殖を抑え、自分自身の増殖に有利に導く役割を持つと考えられています。


ラクトバシラス属(Lactobacillus)
グラム陽性の桿菌であり、一般に「乳酸桿菌」と呼ぶ場合、狭義にはこの属をさす場合が多い。
種によって乳酸のみを産生(ホモ乳酸醗酵)するものと、乳酸以外のものを同時に産生(ヘテロ乳酸醗酵)するものがあります。L. delbrueckii、L. acidophilus、L. caseiなど。

ラクトバシラス属は野外から容易に分離され、ヨーグルトの製造に古くから用いられました。
ヒトや動物の消化管にも多く生息しており、その糞便からも分離されます。
また女性の膣内に生息するデーデルライン桿菌と呼ばれる細菌群も、主にラクトバシラス属で構成されています。

また、L. fructivorans、L. hilgardii、L. paracasei、L. rhamnosusなど、ラクトバシラス属の一部にはアルコールに強いものがあります。
これらは日本酒醸造の現場では「火落ち菌」と呼ばれ、この菌の混入は日本酒の異臭や酸味などの発生(火落ち)の原因になります。


ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)
グラム陽性の偏性嫌気性桿菌で、増殖の際しばしばV字型、Y字型などに分岐した形態を示します。
俗にビフィズス菌とも呼ばれます。
ヘテロ乳酸菌の一種で、乳酸と酢酸を産生します。
B. bifidumやB. adolescentisなど。

ビフィドバクテリウム属の細菌は、乳児のうち特に母乳栄養児の消化管内において最も数が多い消化管常在菌です。
その後、加齢に伴って他の嫌気性細菌に取って代わられます。


ラクトコッカス属(Lactococcus)
グラム陽性の球菌で、連鎖状ないし双球菌の配列をとります。
狭義の「乳酸球菌」。
ホモ乳酸醗酵をします。
牛乳や乳製品に多く見られ、これらを原料とした醗酵乳製品に用いられます。
L. lactis、L. cremorisなど。


ペディオコッカス属(Pediococcus)
グラム陽性の球菌で、4連球菌の配列をとります。
ホモ乳酸醗酵をします。
ピクルスなどの醗酵植物製品から分離されることが多い。
P. damnosusなど。


リューコノストック属(Leuconostoc)グラム陽性の球菌で、連鎖状ないし双球菌の配列をとります。
ヘテロ乳酸醗酵をする。ザワークラウトなどの醗酵植物製品から分離されます。
L. mesenteroidesなど。

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